技術報告
工業炉における酸素バーナの操業最適化技術の開発
Optimization of Operation for Multiple Oxygen Burners in Industrial Furnaces
複数基のバーナを用いる工業炉において,バーナ条件の調整には最適化の余地が残されているが,バーナ設置数が多い程条件の組合せは膨大であり,人手による探索は非現実的である。そこで本開発ではベイズ最適化に基づくデータ駆動型の最適化手法を構築した。まず数値シミュレーションを用いて試験炉における2基のバーナの運転条件を最適化した結果,少ない試行回数でNOx排出濃度を削減できる組合せを見出した。続いてバーナを4基に増やして実証評価を行ったところ,より膨大な探索空間にも関わらず,短期間で有望な条件に到達した。以上より,ベイズ最適化は複雑なバーナ条件の最適化に有効であり,実用化に向けた適用可能性が高いことを示した。
(全文を読む PDF:1235KB)
参考文献:大陽日酸技報 No.40 大陽日酸における酸素燃焼技術開発
ネオン精製装置へのターボ機械の応用
Application of Turbo Machinery Using Mixed Cooling Gas
ネオンは半導体関連向け需要が見込まれているが、世界情勢の変化による供給不安が顕在化しており国産化が課題となっている。そこで、当社では君津サンソセンター(千葉県)の大型空気分離装置で得られる粗ネオンを用いたネオンの生産を計画している。
ネオン精製装置の冷却システムには、当社の冷凍サイクル技術やターボ機械技術により製品化されたNeoKelvin🄬-Turboのターボ圧縮機および膨張タービンを採用している。冷却システムの冷媒は液化防止およびターボ機械の設計最適化を目的にネオンガスとヘリウムガスを混合した冷媒を採用した。本稿では、冷却システムの概要、冷媒ガスの混合比およびターボ機械の設計と評価を実施したので報告する。
(全文を読む PDF:424KB)
関連サイト:ターボブレイトン冷凍機カタログ
参考文献 :大陽日酸ニュースリリース(㈱君津サンソセンターにおける空気分離装置の新設を決定 レアガス製造装置も設置し安定供給に貢献)
参考文献 :大陽日酸ニュースリリース(世界初の超電導電力機器冷却用ターボ冷凍機の販売を開始)
参考文献 :大陽日酸 CSR REPORT 2025
参考文献 :大陽日酸技報 №41 ターボ回転機を用いたブレイトンサイクルにおける混合冷媒の利用
参考文献 :大陽日酸技報 №29 磁気軸受式小型ターボ圧縮機の開発
技術紹介
PSA プロセス開発効率化に向けたデジタル技術の活用
Utilization of digital technology for PSA process development
PSAプロセス開発の効率化を目的に,PSAプロセスシミュレーションモデルを構築した。本モデルは、吸着塔内の物質・エネルギー収支等の物理現象を再現する吸着塔モデルやバルブモデルから構成される。本モデルをアンモニア分解ガスの水素精製プロセスである二塔式PSAおよび四塔式VPSAへ適用し,二塔式PSAにおける塔内圧力や温度の挙動,また両プロセスにおける製品ガス中の不純物濃度について,実験結果と良好な一致を確認した。本モデルを実装した計算プラットフォームを整備することにより,実験計画の手戻り低減やリードタイムの短縮を実現し,PSAプロセス開発の効率化と高度化を図る。
(全文を読む PDF:660KB)
参考文献 :大陽日酸技報 №37 アンモニア分解ガスの FCV 向け高純度水素精製技術
参考文献 :大陽日酸技報 №42 10ton/日規模 CO2回収 PSA 装置
工業炉向けアンモニア-酸素燃焼技術の開発
Development of oxy-fuel combustion technology for industrial furnace
本報では、カーボンニュートラル社会の実現に向け、工業炉におけるアンモニアの熱利用を目的としたアンモニア-酸素燃焼技術の開発を紹介する。アンモニアは燃焼速度が小さく輻射伝熱が弱い上、NOx排出量が多いという課題があるが、酸素燃焼とステージング燃焼を組み合わせることで、安定燃焼を実現し、伝熱効率55%以上、NOx排出濃度360ppm以下を達成した。さらに、ガラス溶解の実生産炉で世界初の実証試験を行い、工業炉への適用可能性を確認した。今後はスケールアップを行うとともに他の工業炉への展開を目指す。
(全文を読む PDF:670KB)
半導体製造向け高純度固体プリカーサーMoO2Cl2の供給技術
Supply technology for high-purity solid-state precursor MoO2Cl2 for semiconductors
次世代材料として期待される MoO₂Cl₂ について,品質管理技術および供給技術開発を実施し,以下の結果を得た。
・耐食性内面処理容器の適用により,繰り返し使用後も容器由来の金属不純物の混入を抑制できることを確認し,MoO₂Cl₂に対する腐食
対策技術を確立した。
・独自精製工程により,気相中金属不純物濃度を当社管理基準である 100 wt.ppb未満まで低減し,半導体プロセス用途に適した高純度
MoO₂Cl₂材料を実現した。
・圧力フィードバック制御方式を採用し,安定したMoO₂Cl₂ガス供給技術を確立した。
・容器内部構造の最適化により温度均一性を向上させ,材料利用効率改善の可能性を示した。
今後は,量産設備および供給装置の高機能化に向けた信頼性評価を進め,次世代半導体プロセスへの適用拡大を目指す。
(全文を読む PDF:715KB)
参考文献 :大陽日酸技報 №42 半導体製造向け高純度固体プリカーサーMoO2Cl2の供給技術
ガス分離膜を用いたCO2中不純物の高感度分析技術の開発
Development of a highly sensitive analytical method for detecting impurities in CO2 using gas separation membrane
近年,半導体デバイスの微細化に伴って高純度ガスの需要が拡大しており,CO2ガスはその代表例の一つである。当社では,ユーザーからの厳しい品質保証の要求に対応するため,液化窒素等を用いた低温トラップによるガス濃縮分析を実施しているが,主成分が高沸点の場合に濃縮できないなどの技術的課題がある。
これら課題を解決するため,ガス分離膜に対する各分子の透過速度の差を利用した新たな濃縮分析技術の開発に取り組んだ。高沸点であるCO2に含まれるC3H8について濃縮可否,および物質収支の検討を行い,分離膜を用いて濃縮分析できることを見出した。
(全文を読む PDF:596KB)
粗ネオンガス中の不純物除去技術の開発
Development of Impurity Removal Technology for Crude Neon Gas
ネオンは半導体製造プロセスにおいてエキシマーレーザの希釈ガスとして用いられるガスであるが,ウクライナに対するロシアの侵攻を契機に世界的な供給不安が顕在化した。これを受け,日本政府は経済安全保障の観点から国内生産体制の強化を進めており,当社は助成金を活用してネオン精製装置を設置する方針を決定した。
本報告では,当社が開発したネオン精製プロセスの概要と,不純物である窒素を除去するために使用する,常温吸着,真空再生方式の圧力スイング吸着装置の設計について紹介する。今回開発したプロセスは,従来方式に比べて省動力,かつ,小型のコールドボックスでネオンを精製することが可能である。
(全文を読む PDF:460KB)
低温実証試験装置
Cryogenic Air Separation Unit (ASU) Pilot Plant
当社は深冷空気分離装置の主要機器である充填塔および凝縮器を,速度論に基づく独自設計プログラムを用いて設計している。近年のASUプロセスの多様化,充填物,凝縮器性能の向上に対応し,広範囲での機器性能データが取得可能な低温実証試験装置(パイロットスケールASU)を2021年につくば事業所に建設した。本装置は真空外槽内の充填塔・凝縮器試験体と,常圧外槽内の蒸化器・凝縮器などから構成される。充填塔実験,凝縮器実験,ミキシングカラム実験が可能であり,任意の組成・圧力・気液負荷条件を再現可能である。本報では例としてAr-O₂系充填塔蒸留実験結果について報告した。蒸気負荷の増加と共に蒸留性能が向上し,ローディング点で最大性能を示す一方,それ以上では急激に悪化することを確認できた。本装置により,充填物性能評価や独自凝縮器の開発を進め,ASUの装置コストおよび運転動力低減,多様化する製品ニーズへの対応を図る。
(全文を読む PDF:549KB)
参考文献 :大陽日酸技報 №38 充填塔流れシミュレーションを用いた蒸留塔設計
参考文献 :大陽日酸技報 №41 カスケード型凝縮器における N2O の濃縮と蓄積
参考文献 :大陽日酸技報 №40 ミキシングカラムのシミュレーション技術
参考文献 :大陽日酸技報 №43 超高純度酸素およびアルゴンを併産する窒素製造プロセス
商品紹介
冷凍バリ取り装置「ソフトブラスター® SCS-CB-BS20」
Refrigeration Deburring Equipment “SOFT BLASTA® SCS-CB-BS20”
ゴム及びダイキャストの成型におけるバリ取り工程は,歩留まりの低減や生産性向上に関わる重要な工程である。近年,人手不足や人件費の高騰により自動バリ取り装置の採用が増えてきている。当社においても液化窒素式冷凍バリ取り装置を販売しているが,従来装置よりもコンパクトかつ低価格なバリ取り装置の要望を受け,「ソフトブラスター® SCS-CB-BS20」を商品化した。
商品の特徴を下記に挙げる。
① 当社従来装置より小型化したバレルの採用
② 構成部品の配置位置の見直しによるコンパクト化を実現
③ 耐久性と小型化を両立した当社独自の振動篩搭載
今後はデモ機を活用しつつ,当該装置の拡販を進める予定である。
(全文を読む PDF:495KB)
関連サイト:ニュースリリース「独自機構により低価格と小型化を両立! 液化窒素式バリ取り装置「ソフトブラスター® SCS-CB-BS20」を販売開始」
溶接スパッタ計数システム「サンアーク®スパッタカウンター」
The Spatter Counting System “San Arc® Spatter Counter”
2018年に開発したスマートフォンを利用したスパッタ計数システムをベースに,専用カメラとWindowsPCへシステムを移行し,撮像の品質及び計数精度を向上させた改良型を商品化した。今回のシステム移行により,データの視認性の向上や解析しやすさ(操作性・利便性)等の機能を加え,溶接の生産現場において更に活用しやすいシステムとした。
本システムを用いることで,生産現場における最適な溶接条件の検討や溶接品質の確認や,溶接シールドガスをはじめとした諸条件の見直し効果を容易に可視化し客観的に比較することができる。
本システムは,希望するユーザーへの現地デモ対応の他,1ヵ月単位のリースでの利用も可能である。
ユーザーの溶接品質の管理・向上に貢献する「スパッタカウンター」を紹介する。
(全文を読む PDF:505KB)
システム紹介
新医療機器遠隔監視システム「RingWell ®」及び 院内医療機器データ連携システム「I-DM」
New medical device remote monitoring system “RingWell” and
Hospital medical device data integration system “I-DM”
院内また在宅医療機器において、測定データや運転データを収集することで適切な医療機器の使用を推進すること、また異常発生時の適切な対応やメンテナンス業務を効率化することにつながる。
この度、グループ会社のIMIと共同で院内及び在宅医療機器向け遠隔監視システム「RingWell®」と院内データ連携システム「I-DM」を開発したので紹介する。
(全文を読む PDF:763KB)
CE貯槽内液化ガス残量(液面)情報収集端末のブラッシュアップ
Brush-up of the CE Storage Tank Liquefied Gas Level (Liquid Surface) Information Collection Terminal
当社が保有しているCE貯槽は約6000台あり、その内約1300台にCE液面情報収集端末(THRUSH)を設置している。本システムは液面計器の残量値を読み取り、適切な納入タイミングをユーザへ提案するなど当社では配送効率化に向けて利用している。ユーザはCE液面情報システム(TREE)を利用することで、THRUSHのデータを確認し在庫状況の参考として活用することができる。また、任意の値を警報値として設定することで液切れによるトラブルを未然に防ぐことが可能である。従来のTHRUSH(THRUSH LTE)は重量が重くサイズも大きいため設置作業が課題であったが、小型・軽量化にすることで容易に設置することが可能な新CE液面情報収集端末(Zero THRUSH)を開発した。
(全文を読む PDF:373KB)