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2025/06/27
ニュースリリース

銅ナノ粒子を用いたパワーデバイス向け接合ペーストを開発
電動化が進む自動車の長距離航続の実現等に貢献

日本酸素ホールディングスグループの日本産業ガス事業会社である大陽日酸株式会社(本社:東京都品川区 代表取締役社長:永田 研二、以下「当社」)は車載向けパワーデバイスの接合材として、銅ナノ粒子を用いた接合ペーストの開発に成功しました。今後はお客さまへのご紹介、およびサンプル提供を行い、評価結果を踏まえながら、本接合ペーストの本格的な事業化の検討を目指します。 

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接合ペーストの外観写真

1.開発の背景
パワーデバイスは、電気自動車向けなどでインバーター等の電力変換器に用いられている半導体素子です。近年では世界的な自動車電動化の流れもあり、電気自動車などの長距離航続のためにもパワーデバイスの高性能化は大変重要とされています。この高性能化のために、モジュールの小型化や高温動作が可能なSiCデバイスの採用が進んでいます。 一方、従来のSiデバイスで広く用いられているはんだ系の接合材では、高温で効率的な動作が見込まれるSiCパワーデバイスには不向きなため、耐熱性の高い銀や銅の微粒子を用いた金属焼結型接合材が注目されています。金属焼結型接合材としての銀材料は、イオンマイグレーション※1耐性の問題やコストが高いため、近年は銅ナノ粒子を用いた接合材に強い期待が寄せられています。

※1:イオンマイグレーション:湿度が多い環境で電圧を印加した場合、電極間をイオン化した金属が 移動し短絡が生じる現状

2.銅ナノ粒子を用いた接合ペーストの概要
当社は、独自開発した酸素燃焼による金属ナノ粒子の製造技術※2を有しております。本プロセスで製造した銅ナノ粒子※3は、粒子径100 nm 程度で、表層が亜酸化銅で被膜された粒子(乾粉)のため、従来の湿式プロセスで製造されたものとは異なり有機保護膜が無く、そのため、焼結時のアウトガスが少量であり、かつ低温焼結が可能です。 この度、本銅ナノ粒子を用いて、銅系の焼結型接合材では困難であった200℃の接合温度において、高強度接合が可能な接合ペーストを開発しました。本接合ペーストは、下記の表1に示すように、接合温度200℃、接合圧力10 MPa、接合時間5分の接合条件におい て、せん断強度80MPa以上の接合が可能なことを確認しています。

※2:2014 年1月14 日付ニュースリリース「酸素燃焼による画期的な金属ナノ粒子合成技術を開発」
※3:2015 年1月23 日付ニュースリリース「低温焼成可能な高純度銅ナノ粒子を開発」 




※4:接合条件:接合温度200℃、接合圧力10MPa、接合時間5分@N2雰囲気
被接合材:5mm角SiC、20mm角銅板




本件に関するお問い合わせ

大陽日酸株式会社
広報部: 03-5788-8015


技術に関するお問い合わせ

技術開発ユニット
山梨ソリューションセンター
ナノ材料開発プロジェクト:
050-3142-5411