日本酸素ホールディングスグループの日本産業ガス事業会社である大陽日酸株式会社(本社:東京都品川区 代表取締役社長:永田 研二、以下「当社」)と当社グループ会社のRASIRC,Inc.
※1(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Jeffrey Spiegelman)は、2013 年から半導体産業向けに販売している高濃度過酸化水素ガス供給装置「Peroxidizer
Ⓡ」に比べて、より扱い易い過酸化水素供給ソース「BRUTE
Ⓡ Peroxide」の販売を日本で開始しました。
※1 RASIRC, Inc.は当社グループ会社。同社の保有する高度な膜分離技術によって、微細化が進む半導体製造プロセス向けに新材料および蒸気発生装置を提供
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BRUTEⓇ Peroxide の容器外観)
1.BRUTEⓇ Peroxideの製品概要 
 BRUTE
Ⓡ Peroxideは高濃度の過酸化水素をRASIRC社独自開発の固体吸着材へ含侵させることによって、供給濃度の安定性や安全性を向上させた過酸化水素供給ソースです。製品の特長は以下の3点です。
 ①半導体製造用に市販されている過酸化水素水溶液を用いたバブリング供給では、わずか数十ppmほどの供給濃度しか得られませんが、BRUTE
Ⓡ Peroxideはその100倍以上の高濃度で過酸化水素の供給が可能です。
 ②BRUTE
Ⓡ Peroxideは、ステンレス製容器に充填されており、成膜装置への接続が容易なため取り扱いやすく、研究開発用途や少量生産工程に適しています。
 ③従来のPeroxidizer
Ⓡと比べ低水分濃度の過酸化水素を成膜装置へ供給可能です。
 過酸化水素は一般的な酸化源である水と比較して特に低温での酸化力が強く、オゾンガスに比べ成膜時の下地層への影響が少ない、という特性が確認されています。成膜プロセスの低温化だけでなく、表面クリーニングや膜改質等に有望な酸化剤として期待されています。
2.BRUTEⓇ Peroxideの製品仕様
    
        
            | 項目 | 
             仕様 | 
            備考  | 
        
        
            | 容器 | 
             直径 101.6mm 
            高さ 296.9mm | 
            内面特殊コーティング仕様   | 
        
        
            | 充填量  | 
            235g  | 
            過酸化水素と固体吸着剤の重量比 1:1   | 
        
        
             供給濃度 
            ※2 | 
            H2O2:2,248ppm 
             H2O:1,128ppm 
            (濃度比 H2O2:H2O=2:1) | 
            容器温度 25℃, 容器圧力 760torr, キャリアガス流量 1000sccm における実験値  
            (参考:PeroxidizerⓇ 濃度比 H2O2:H2O=1:4) | 
        
    
※2 実際の供給濃度はキャリアガス流量や容器温度、容器圧力、配管長などに影響されます。
3.背景 
 半導体製造プロセスにおける酸化膜の形成には、水(H
2O)や酸素ガス(O
2)、オゾンガス(O
3)が広く使用されていますが、近年はより低温での成膜や膜質改善の効果が見込める材料ガスとして過酸化水素(H
2O
2)が注目されています。現在、当社およびRASIRC社では量産工程向けに大流量、高濃度で過酸化水素を供給可能なPeroxidizer
Ⓡを販売中ですが、「過酸化水素とともに同搬される水分量を最小化したい」、という要望をユーザーからいただくことがありました。そこでRASIRC社はステンレス製容器に充填されて扱い易く、水分量を抑えた新しい過酸化水素供給ソースとして、「BRUTE
Ⓡ Peroxide」を開発しました。米国で先行販売を続けており、この度日本国内でも販売を開始しました。
4.今後の展開 
 BRUTE
Ⓡ Peroxideは、ロジックや DRAM等の先端半導体分野をメインターゲットとして研究開発用途または少量生産工程の要求に対して拡販を計画しています。その上でPeroxidizer
Ⓡと合わせ過酸化水素の適用範囲を広げ、最近お問い合わせが増えている光学デバイスやバイオメディカル関連分野への展開も進めてまいります。
【ご参考:研究論文データ】
Robust low-temperature (350℃) ferroelectric Hf0.5Zr0.5O2 fabricated using anhydrous H2O2 as the ALD oxidant | Applied Physics Letters | AIP Publishing
 
本件に関するお問い合わせ
大陽日酸株式会社
広報部: 03-5788-8015
製品に関するお問い合わせ
イノベーションユニット(業務管理部):
045-872-1821