Yoko Sugiyama 杉山 陽子

研究開発部門

開発・エンジニアリング本部  つくば研究所 化学合成技術部 合成技術課
2010年入社/数理物質科学研究科 化学専攻 修了

国内最大のSI化合物のサプライヤーとして
新分野へ活躍の扉を開く

My Work

SI化合物開発の最前線

元素には「同位体」と呼ばれるものがあります。原子の性質を決める陽子の数は同じですが、中性子の数が異なり、化学的性質はほぼ同じでも質量が異なる元素のことです。中でも安定同位体(SI)と呼ばれるものは、放射性同位体とは異なり、放射線を出すことがないため、一般の物質と同じように取り扱うことができます。これらの性質を活かして研究・分析用途として各研究分野で利用されています。当社は国内最大のSI化合物のサプライヤーとして、さまざまな産業に貢献してきました。
私が所属している化学合成技術部合成技術課は、SI化合物とガスの両方に関する研究開発をしている部署です。SI化合物の取り扱い技術に関しては世界最高水準にあり、目的に合わせたSI化合物の合成方法の検討や、SI化合物に関連した設備開発を実施しています。加えて、ガス反応を利用した新規化合物の製造技術開発、フローリアクター(化学反応を行う装置)を用いた反応プロセスの開発も並行して行っています。私が現在主に担当しているのは、水素の安定同位体である重水素の標識化合物(※)や、酸素の同位体である18O標識化合物の開発と受託合成に関する業務です。豊富な原料を有し、安定供給のための体制が整っているという当社の強みを活かし、コストを抑えつつも高品質な化合物の合成開発を実施しています。

※標識化合物...特定の元素を同位体に置換した化合物のこと。
Chellenging

研究者にも、“経営者の目線”を

従来、研究用途として用いられることが主だった重水素標識化合物は、発光効率の向上や電池の耐久性向上に寄与することがわかっています。そのため、有機EL発光材料や二次電池材料といった新たな分野へ展開し、当社独自のバルク商材創出を目指しています。
実は、入社当初はこの仕事の意義や、それに伴う難しさを深く考えることなく、先輩に指示されるがままに合成に取り組んでいました。しかし、周囲に相談したり、調べ物をしたりしながらひたすら実験を繰り返す内に、食事を忘れてしまうほど仕事に没頭している自分がいることに気が付いたのです。その結果として、それまで合成できなかったものが化合物として誕生した瞬間は、やはり「うれしい」の一言。開発はすぐに成果に結びつく類の仕事ではありませんが、その瞬間こそが、苦労を超えたやりがいの一つです。
入社7年目となった現在では、化合物をつくることはもちろん、いかに高品質かつ高収益なバルク商材を開発するか、ということも視野に入れて業務に当たっています。研究だけに注力すればいいというわけではなく、やはり技術者としても会社の経営に貢献する意識を高く持たねばなりません。そして、私たちの開発が日の目を見るためには、共同研究先の企業や大学の方々の評価・検討が不可欠。品質と費用対効果の双方で高い評価を得られる化合物の開発が、企業に所属する研究者の腕の見せ所だと考えています。

Message

誰にも負けない、自分だけの強みは何か?

「大学で学んでいることを仕事に活かせるかどうか不安です」。OGとして母校の就職セミナーに参加する中で、何度も耳にしたことのある言葉です。しかし、月並みなようですが、仕事は自分の専門性だけで成り立つものではありません。初めてのことにも臆せず飛び込んでいける積極性や行動力、責任感、先見性、想像力……そして何より、明るく元気に! その一つひとつが、社会で生きていくための大切な能力なのではないでしょうか。必ずしもすべてを備えている必要はありませんが、「自分が誰にも負けないことは何か」ということを、自分と向き合って考えてみてください。大陽日酸にはメンターや教育係もおり、手厚く教育を受けることができるため、自分の強みを活かした働き方がきっとできるはずです。

My History

1986

栃木県に生まれる。家では元気だが外に出ると内気という、まさに内弁慶な子どもだった。

1992

入学した小学校は全校生徒数が少なく、ブラスバンドや陸上、ソフトボールなど、さまざまなクラブに入って活躍した。写真は県の音楽祭で優秀賞を獲得したときのもの(左から2列目奥が本人)。

1998

中学校では卓球部に入部。小山支部大会で3位に入賞する。高校受験は志望校選びに苦労したが、将来化粧品メーカーへの就職を考え、高専を志望することに。

2001

無事に志望高校に入学。卓球も続けることに。当時ペアを組んでいた友人とは下の名前が同じで、「陽子ペア」と呼ばれていた。卒業から10年以上経った今も交流がある。

2006

大学に編入。入った研究室は光化学の研究室で、学んだことが現在の仕事に活かされている。

2008

大学院へ進学。将来の夫となる人とはこのときに出会う。

2010

大陽日酸株式会社に入社。SI開発部の配属となる。

2012

結婚。夫と二人三脚の生活がスタート。結婚後も研究者として働き続けられることが嬉しい。

Episode

「仕事は段取り9割」と言うけれど

入社1年目から3年目にかけて、Water-18O製品の分析に携わる機会がありました。作成したスケジュールに沿って数名でローテーションしながら分析するというのが基本的なやり方でしたが、あるとき、プラントに不具合が発生!予定にない製品サンプルが届いたり、逆に予定していたものが届かなかったりと、スケジュール通りの進行ができないという事態に。都度スケジュールを再調整し、メンバーへの周知、他業務との調整でてんてこ舞いになりました。経験を積んだ今となっては何てことのない話ですが、入社間もない当時の私にとっては「臨機応変」の重要性と難しさを思い知らされた出来事でした。