Takuya Hasegawa 長谷川 卓也

エンジニア部門

開発・エンジニアリング本部 プロジェクト推進統括部 凍結保存プロジェクト
2012年入社/生命機能研究科 生命機能学専攻 修了

これからの再生医療を支える細胞凍結技術の開発に取り組む

My Work

細胞凍結技術と凍結保存装置の開発

凍結保存プロジェクトは、液体窒素の-196℃という低温を利用して細胞を凍結する技術や、凍結細胞の保存を自動で行う装置の開発を行っています。心筋シートや、網膜細胞の移植など再生医療による治療はニュースでも注目されており、実用化に向けて急激に進んでいます。再生医療には大量に細胞が必要ですが、細胞の培養には時間がかかる為、あらかじめ細胞を大量に培養し、凍結して保存しておく必要があります。そのため、治療に使う細胞を高品質で大量に凍結し、保存する技術の確立が不可欠であり、ここに液体窒素を利用した技術で挑戦しています。
当社は国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の事業に参画しており、研究機関や他の企業と連携して、細胞凍結技術の開発も行っています。凍結保存プロジェクトで、私は凍結の冷却速度を最適にコントロールする細胞凍結技術を開発しています。ヒトの細胞の中には、単純に液体窒素で-196℃に凍結させるだけでは解凍後の生存率が低いものがあります。それらの細胞は冷却速度を制御し、凍結する必要があります。生存率の高く、増殖率の低下しない高品質な細胞を保存するため、試行錯誤を重ねながらデータを蓄積し、精度よく最適な冷却速度を再現する装置を開発しています。
また、iPS細胞の全自動凍結保存システム「クライオライブラリー」の改良、改善開発にも携わっています。凍結細胞を取り違えることなく保存・取り出しができるこのシステムで、データ管理の設計やメンテナンスなどを担当して通して、お客様の要望や、改善点を取り入れています。
今後の医療の発展には、再生医療分野は欠かせません。そのため当社も、細胞を高品質に凍結し、その品質を維持できる装置を開発していくことは、重要ととらえています。そうした意味からも、凍結保存プロジェクトの役割の重さをしっかりと実感しています。

Chellenging

これまでになかった要望に応える充実感

お客様からの要望で、細胞凍結装置の改良を依頼されました。装置には細胞凍結後に冷却部を常温に戻すためのヒーターが付いているのですが、その温度をある一定に制御したいという要望でした。これまでに手がけたことがなかった、装置の「仕様変更」で、短納期でもあったため、本当にできるのかなという不安がありました。何度も組み直したのになかなかうまく行きませんでしたが、これまでの装置の設計や細胞培養、細胞評価で学んだノウハウを生かすことで少しずつお客様の要望に近づけながら、最終的には満足していただくことができました。お客様の要望は、難しいことが多いのですが、それを達成したときの充実感は忘れられません。
技術開発というと研究一辺倒のようなイメージを持つ人がいるかも知れませんが、モノ作りという側面もあります。例えば、細胞を凍結する空間がこのくらいなら外装はこのくらいで、使う配管はこんなサイズとか、実際に装置を作ったりします。そのうえで液体窒素を流す量を計算しながら最適な結果を出そうと工夫しています。いろいろな工具を使って配管を曲げたり、装置部品を組み合わせたりということも日常です。そうした手作り装置からよりよい技術が生まれると、大きなやりがいを感じることができます。

Message

知らない分野の企業情報も集めてみよう

会社では、研究成果や研究の進捗状況を報告する機会が多くなります。そのときは、まず報告する内容をしっかり整理し、聞き手が理解できるようにしておくことが重要だと思います。これはすぐに身に付く能力ではありません。私は上司からレポートの修正をよく指示されました。報告をまとめることが苦手な人は、人前で話す機会を多く持ったり、レポートを書くなどの訓練をしておくと、後々役に立つ機会は多いと思います。また、就職活動中は、これまで知らなかった企業や職種に巡り会う、よい機会です。私は産業ガス業界を知りませんでしたが、こうして就職することができました。視野を広げる意味でも、知らない分野の企業情報も積極的に集めてみると面白いと思います。

My History

1987

兵庫県生まれ。自然豊かな環境で育つ。山を走り回り、生き物好きに育つ。

2000

中学校では陸上部に所属。練習がつらい時も多かったが、大会でライバルを抜いて行くのは楽しかった。熱帯魚を飼い始め、今も実家で飼っている。

駅伝大会で入賞したときの一枚。真ん中、左から2番目が私。
2006

大学は工学部の生物応用工学科に所属。バイオ工学を学び、将来はモノづくりに携わりたいと考える。また、サイクリング部に入部し、自転車での北海道一人旅はとてもいい思い出になった。

2009

大学院4年生では蛋白質工学研究室に所属し、パーキンソン病の原因タンパク質の毒性研究を行った。

学祭で「焼鳥屋」を出店。右から3番目が私。
2010

脳の病気を研究するうちに脳に関心を持つ。大学院では脳の記憶に関する研究を行い、脳の機能の複雑さに驚く。

2011

就職活動に苦戦し、友人と相談や面接の練習をした。その中でモノづくりの基礎を支える大陽日酸に興味を持ち、無事内定をもらう。

大学院研究室の仲間と。右から3番目が私。
2012

大陽日酸に入社。ガス分離を行う部署に配属される。天然ガス中に含まれる不純物の窒素を取り除く装置の開発に取り組む。

新入社員研修にて同期と。右端が私。
2014

現在の凍結プロジェクトに配属され、細胞凍結技術の開発を行う。

2016

入社4年目。上司や先輩のように、後輩の目標となれるよう頑張りたいと思い、一段と責任感をもちながら業務に携わっている。

Episode

巨大バイオバンクに興奮

大量の細胞を凍結保存し、医療研究や薬品開発に役立たせる「バイオバンク」の立ち上げ現場に行ったことがあります。そこには何十台という巨大な凍結保存容器が並び、私の大学の研究室にあった凍結保存容器と比べると遙かに巨大なスケールで驚きました。ここに大量の細胞が保存され、医療研究に役立つのかと思うと、思わず興奮したことを思い出します。