Our Technology
  1. HOME
  2. Our Technology
  3. 次世代のモノづくりを支える金属AMソリューション「3DPro®」

次世代のモノづくりを支える
金属AMソリューション「3DPro®」

金属加工を手掛ける製造現場において、急速に導入が進む金属AM(アディティブ・マニュファクチュアリング)。
大陽日酸は、革新的な金属3Dプリンタメーカーである米国VELO3D社をはじめとする有力メーカーとの業務提携を通じて、The Gas Professionalsとして長年培ってきた高度な技術力とノウハウを駆使し、金属AMの最適化を実現する独自のソリューションを提供しています。

無限の可能性を秘めた、金属3Dプリンタのモノづくり


金属AM活用事例:次世代超音速旅客機の基幹部品

近年、3Dプリンタは飛躍的な進化を遂げ、簡単に使える個人向けから、工業品の製造も可能な産業向けまで、幅広い用途に利用されるようになってきました。写真や文書などの平面、すなわち二次元(2D)で印刷する従来のプリンタと異なり、3Dプリンタは立体、すなわち三次元の造形が可能です。

3Dプリンタの中でも金属の粉末やフィラメントとの混合素材を用いるものを「金属3Dプリンタ」と呼び、これを活用したモノづくりを「金属AM」といいます。AMとはAdditive Manufacturing(付加製造、積層造形)の略称です。

従来の金属加工は、金属の塊を切削して目的の形状に仕上げていく、「引き算」のモノづくりです。しかし、産業廃棄物となる削りくずやエンジニア不足、作業環境の問題などが指摘されています。これに対して金属AMは、「足し算(Additive)」のモノづくり(Manufacturing)です。例えば、最も一般的なLPBF(Laser Powder Bed Fusion:レーザ粉末床溶融結合、通称「レーザパウダーベッド」)方式では、金属の粉末を必要な量だけレーザ光線で溶かし固めながら一層ずつ積み重ね、目的の形状に仕上げていきます。従来工法を金属AMに切り替えることで、何十点もの部品を1点にまとめたり、軽量化や強度の向上といった機能の強化に結び付けたりすることが可能になります。また、資源のロスを抑えながら、人にも環境にもやさしいサステナブルな技術と位置付けられています。

そんな大きな期待が寄せられている金属AMですが、実際に使いこなすにはさまざまなハードルがあります。まず、金属AMにはLPBF、DED、WAAM、FDMなどの多岐にわたる方式が存在し、目的に合わせたプロセスと素材の選定が不可欠です。次に、3D設計や品質管理において、独自のノウハウが求められます。これらのことから、世界中の製造現場で思い通りの造形ができずに悩んでいる事業者も少なくないのが実情です。しかし、こうしたハードルを乗り越えてでも、金属AMで得られる価値は計り知れない ― 私たち大陽日酸は強く信じています。

  • LPBF(Laser Powder Bed Fusion):レーザ粉末床溶融結合方式(通称、レーザパウダーベッド方式)
  • DED(Direct Energy Deposition):指向性エネルギー堆積方式
  • WAAM(Wire and Arc Additive Manufacturing):ワイヤアーク方式
  • FDM(Fused Deposition Modeling):熱溶解積層方式

大陽日酸は、オープンイノベーション戦略の下、金属3Dプリンタメーカーをはじめ、DfAM(Design for AM)といわれるAMに特化した造形技術を持つプレイヤーとの業務提携を進めてきました。例えばVELO3D社は、自社の革新的な金属3Dプリンタが米国で次世代超音速旅客機の部品製造に利用されるなど、試作品の段階を乗り越えて実用化に至っています。極めて厳格な品質基準が要求される航空・宇宙産業での導入実績を積み重ねてきた点からも、他の金属3Dプリンタメーカーに先行しており、私たちにとって強力なパートナーです。

1910(明治43)年の創業以来、100年以上にわたって産業ガス事業を手掛けてきた大陽日酸。そんな私たちが、一見すると特に接点の見当たらないAM事業になぜ関わるのか、疑問に思われるかもしれません。しかし、産業ガスを知り尽くすThe Gas Professionalsの大陽日酸だからこそ、金属AMの分野に応用できる独自の技術力やノウハウを数多く保有しているのです。
ここでは具体的に金属AMとどのような関連性があるのか、大陽日酸の「Our Technology」について紹介していきましょう。

金属AMに必要不可欠な「シールドガス」

金属3Dプリンタは、金属の粉末にレーザ光線を照射し、溶かし固めながら造形していきます。この原理は、実は金属の溶接作業と基本的に同じものです。

大陽日酸は、さまざまな産業分野で数多くの金属溶接を手掛けてきた、溶接のスペシャリストです。その豊富な実績に加えて、自社の研究所で溶接技術の研究開発に取り組み、さらに溶接分野のソリューション提供に特化したグループ会社も保有しています。自ら溶接を手掛ける技術力と溶接現場のニーズを熟知したノウハウの全てを金属3Dプリンタにも活用できる点こそ、大陽日酸ならではの強みなのです。

溶接では、空気中に含まれる酸素や水分(湿気)と対象物が化学反応を起こすことで溶接不良が生じます。これを防ぐため、純度の高い窒素ガスやアルゴンガスを対象物に常時吹き付け、周囲に酸素や水分が存在しない環境を作ることが不可欠です。このような役割を担うガスは、対象物を守ることから「シールド(盾)ガス」、あるいは対象物の周囲を包み込むことから「雰囲気ガス」と呼ばれています。金属3Dプリンタにおいても、シールドガスの存在は欠かせません。高品質なAM造形を行うには、最適なシールドガスで装置内部の空間を整える必要があります。

「シールドガス」を最適な状態で届ける緻密な供給技術

シールドガスは、実際に使われる箇所まで安全性と品質を保って供給することが重要です。窒素ガスやアルゴンガスは、ボンベやタンクに貯蔵されている状態では、極めて高い純度を保っています。しかし、配管を通って装置などに流れる途中で不純物が混入するリスクがあるため、配管施工には高度な技術力とノウハウが欠かせません。

大陽日酸は、超高純度のガス供給が要求される半導体業界においても多数実績があり、比類なきレベルの技術力とノウハウを保有しています。これに、溶接の知見を組み合わせることで、金属AMに最適なシールドガスと供給システムのご提案を可能にしているのです。

「ナノ材料」事業で金属粉末の特性を熟知

金属3Dプリンタの素材である金属の粉末は、直径約15マイクロメートル(0.015ミリメートル)と非常に小さいだけでなく、粒が均一でかつ真球に近い形状であることが求められます。その他にも、不純物の含有量など、さまざまな指標に基づいて品質を見極めることが重要で、保管についてもきめ細かな管理が欠かせません。特に日本の高温多湿な気候では、正しく扱わないと空気中の水分と反応し、造形に適さない状態になってしまいます。

大陽日酸は、金属粉末の分野においても最先端の技術研究に取り組み、マイクロメートルの1000分の1の単位であるナノメートルサイズの「ナノ材料」を独自に開発・販売しています。そこで培った微細加工技術を生かし、金属AM材料の品質評価から保管まで、幅広いソリューションの提供が可能です。

「MOCVD装置」で培った高度なサービス技術

大陽日酸は、ガスメーカーでありながら装置メーカーの一面も持ち、化合物半導体の製造に欠かせない「MOCVD装置」を提供してきました。先端分野の生産ラインで安定した製造品質を維持するには、装置導入以降も、高度な技能を持った技術者による定期的なメンテナンスが不可欠です。これは金属3Dプリンタに関しても全く同じことが言えます。大陽日酸は、MOCVDで培った高度な技能と豊富な経験を生かして、金属3Dプリンタに関連した幅広いサービスの提供が可能です。

高品質な金属AMをサポートする独自のソリューション「3DPro®」

このように大陽日酸は、シールドガス・金属パウダー・装置に関する豊富な知見があり、金属AMと高い親和性を持ち合わせているといえます。技術力、ノウハウ、経験、そして人材―その全てを結集し、金属AMの実用化に貢献するためのソリューションが、「3DPro®」です。

金属粉末を最適な状態で保管できる「金属材料乾燥保管キャビネット」をはじめ、シールドガスの純度を常に一定に保つ「循環精製システム」、最適な供給ラインでシールドガスを届ける「ドライガスチューブ」、99.999%の窒素を発生させる「高純度PSA」など、幅広い製品ラインアップを取り揃え、お客様にとって最適な金属AMの実現をサポートします。

AMアドバンスドルーム

2020年10月にはAM関連技術の開発に特化した中核拠点として、「AMアドバンスドルーム」を山梨研究所内に新設しました。独自の金属AMソリューションである3DPro®に加え、VELO3D社のSapphireを含む最新の3Dプリンタ装置を幅広く揃え、AM造形技術全般に関する技術開発に注力しています。

AMアドバンスドルームのように、ガス設備まで総合的に統合された空間は他に類を見ません。私たち大陽日酸はThe Gas Professionalsとして、次世代のモノづくりを担うAM技術のソリューション提供に、これからも積極的に取り組んでいきます。

サステナビリティへの取り組み

AM技術を利用したモノづくりは、17の持続可能な開発目的(SDGs)の観点からも全世界の注目を集める製造方法です。例えば、部品を従来の製造方式から金属AMに切り替えることで、温室効果ガスの発生量を半分以下に削減できる場合もあり、環境負荷軽減への貢献が期待されています。

2020年10月、大陽日酸は米国の非営利法人「AM Green Trade Association(AMGTA)」の設立に携わりました。同法人は、AM技術がもたらす環境への効果について、啓蒙・教育活動や共同研究に取り組みながらAM技術の普及を図ることを使命としています。
大陽日酸はこのAMGTAとの活動を通じて、産業ガスメーカーとしてSDGsの取り組みを強化していきます。