エレクトロニクス/MOCVD

大陽日酸の半導体製造装置は、長年培ってきたガス・ハンドリング技術、超高真空技術などをもとに開発され、独自の技術により一貫製作されています。さらに、高度化する半導体製造プロセスに最新技術で応え、信頼性と効率化を進めています。

化合物半導体急成長の背景

ここ数年、携帯電話や光通信の進展によって半導体レーザーや発光ダイオード(LED)などに使われる化合物半導体が急成長しています。これに伴って、当社が世界有数の優れた技術をもつMOCVD装置がその製造装置として脚光を浴びています。

発光素子として注目

化合物半導体は、シリコンに比べて光を放出しやすいという特徴があり、発光素子として優れています。この特徴を生かしたのが半導体レーザーです。

半導体レーザーから発展

GaAsによる半導体レーザーは1979年にアメリカで実用化され、1981年にはCD用の光源として正式採用されました。

この時に使われた製造方法がMOCVD法(化学気層法)です。つまり化合物半導体は、MOCVD装置の発達によって実用化が果たされたのです。現在では、DVD用の光源や光通信用にも需要が広がりつつあります。

半導体レーザーの次に実用化されたのはLEDです。低消費電力で輝度の大きなLEDの実用化は、液晶(LCD)やディスプレーなどの可能性を広げました。特に、日本で開発された窒化ガリウム(GaN)による青色・緑色LEDの出現によって、光の三原色を表示することができるようになり、フルカラーディスプレーなどの用途へ大きな広がりを見せました。また現在は、GaNによる白色LEDも開発され、液晶のバックライトなどにも使われるようになりました。

化合物半導体は高効率・高電送という特徴もあり、発光素子としてだけでなく携帯電話用のパワーアンプなどの電子デバイス用にも使われ、需要が伸びてきています。

身近に使われているシリコン半導体や化合物半導体

期待される化合物半導体の今後

赤色・黄色・緑色のLEDを使った交通信号は、省エネとメンテナンスフリーという特徴をもっており、欧米などではすでに使われはじめています。また、白色LEDを使った蛍光灯に代わる室内照明も実用化されはじめており、これらの市場は無限大ともいえるものです。

次に半導体レーザーでは、CDやDVDの高記録密度化に対応するためGaNを使った紫色レーザーが必要となり、また、光通信によるパーソナル通信や光ケーブルなどにも半導体レーザーが利用され、その成長はかなり期待できます。

電子デバイスとしても、携帯電話の増加に対応してGaNを使った高周波数域用パワーアンプの需要が拡大すると考えられています。

化合物半導体の用途と将来

当社の取組みは原料ガスの供給からスタート

MOCVD法の原理

MOCVD法の原理は、石英の反応管にトリメチルガリウムやアルシン・ホスフィン・アンモニアなどの原料ガスを送りこみ、管内のベースの上に必要な層を成長させていくというものです。原料ガスを何回も取り替えることによって各成分の層を積み重ね、機能を発現させます。各層を均質に成長させることは大変に難しく、ここに当社が優位性をもつノウハウが詰まっているのです。

化合物半導体デバイス(GaN青色LED)の例

1983年に開発スタート

化合物半導体の原料ガスは、アルシンやホスフィンなどの毒性の高いガスです。日本でMOCVD法による製造が始まった当時、当社はすでにシリコン基板のドーピングガスとして、これらの毒性ガスを半導体メーカーに供給していました。こうしたガスの取り扱いには特殊な設備と独自のノウハウが必要となりますが、当社はそれまでの実績を評価されて、MOCVD装置の草創期から原料ガスの供給を行っていました。

1980年代の前半は、シリコン半導体の超LSIの開発期であり、当社でも半導体関連の事業を手がける好機でした。そこで当社は、いくつかのアイデアの中からガス供給装置で実績のある分野でMOCVD装置の開発に着手することを決定しました。理由としては、

  • 1)装置の中でガス供給設備の比重が大きい
  • 2)毒性の高いガスを扱うという当社の保安技術を生かせる
  • 3)草創期の段階で、技術的なハードルが低かった、

の3点が上げられます。

当社の技術が生かせる市場

当社のMOCVD装置開発は、客先ニーズに対応して仕様をカスタム化し、この積み重ねによって高い技術を蓄積していきました。1985年に一号機を受注し、その後半導体レーザー向け装置、電子デバイス向け装置などを順次製品化してきています。

当社では、こうした装置開発と並行して原料ガスの製品化も行っています。最初にアルシンの水分を低減したMOCVDグレードを製品化した後、DVD用レーザー向けのホスフィン、電子デバイス用のアルシン、GaN青色LED用アンモニア等の製品化を行い、装置とガスの双方からの取組みを行ってきました。また、これに加えてこれまでに蓄積してきた技術を生かした排ガス処理装置、精製装置、ガスモニターなども取り扱っています。まさに化合物半導体製造に関するあらゆるソリューションを手がけているわけです。これは他にはない当社の強みです。そうした意味で化合物半導体分野は、当社のトータルガス技術が生きる絶好の市場ということができるのです。

GaNで優位性を発揮

GaAsやInPなどの化合物半導体に比べて、GaNは比較的新しいデバイスです。青色LEDや紫色レーザーのような今後期待される用途で使用される材料で、ここ10年間で約10倍にも成長すると予測されています。日本はGaNデバイスの先進国で、当社は日本の客先との連携によってGaNデバイス製造については最先端の技術蓄積をもっており、今後はこの技術が大いに生きてくると考えられます。